Shimizu Tatsuo Memorandum
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きのうの話 |
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2021.12.18 今日で85歳になった。 年取るにつれ、時間の過ぎるのが早く感じられるというのは世の常だろうが、今年はその短さをあまり感じなかった。 半年の間に、3人の家族を失ってしまったからである。 いちばんはじめが十歳年下の、いちばん下の弟だった。 5人きょうだい、生後1ヶ月で亡くなった弟まで入れると6人きょうだいの末端の弟である。 若くて元気なのが当たり前、兄より先に逝くなんて考えたこともなかっただけに、コロナで病院にも行けないまま別れてしまったのはなんともつらかった。 最後に聞いたのが「また電話するわ」という電話の声だったのだ。 つぎが上の妹の夫79歳、死因はこれまたガンであった。 その葬儀の席へ、96になる叔母の訃報が届いた。 6人いた母のきょうだいも、これで下の叔母ひとりになってしまった。 母は19歳で結婚し、20歳でわたしを生んだ。 このとき叔母は12歳、下の叔母は9歳、ふたりとも小学生である。 大家族制時代の末端だったから、このような事例は珍しくなかった。 かみさんも6人きょうだいの6人目、中学生のとき叔母になっている。 だからふたりの小学生は、叔母というより年の離れた姉のようなもの、子守に、遊びに、いまとは考えられない濃密な愛情を注いでもらった。 いくつのときだったかその辺は曖昧だが、家族の居室だった母の実家の中二階で、ふたりが小学唱歌『隅田川』を歌ってくれたときの情景をを、はっきり覚えている。 春のうららの、という冒頭の旋律を聴くたび、そのときの光景をありありと思い出してしまうのだ。 思い出しつづけて80年たっていた。 幼年期にこれほど濃厚な家族愛に包まれてきたことは、わたしの人格形成にどれほど大きな影響を与えてくれたことか。 その叔母にも最後は会うことすら叶わなかった。 われわれが生まれ育ってきた家族の情感は、いまの家族の別れにはかけらほどもない。 空しいとしか言いようのない時代になったものである。 |
2021.12.5 あっという間に12月、年々時間のたつのが早くなる。 今日は穏やかに晴れ渡り、気温も20度近くまで上昇した。 久しぶりだからというので、せがれがお隣富津の『紅葉ロード』なるところまで連れて行ってくれた。 とくに紅葉類が多いわけでもなさそうなふつうの山里。 最低気温だって6、7度くらいまでしか下がらないようだから、京都辺りのエグい紅葉と比べたら気の毒というものだろう。 それでも今朝のNHKの天気予報の背景に使われたとかで、近県から見物に来た車がそこそこ押しかけて来ておりました。 帰りに見た富士山の方が、よっぽど見栄えがしたんですけどねえ。 こんな写真だと遠すぎて、見えないだろうなあ。 わが家のミカンもだいぶ色づいてきました。 これはブンタン。 本州では北限のブンタンではないかと、勝手に僭称しております。 |
2021.10.8 最近地震が多いなあと思っていたら、今夜11時前、震度4の強い地震があった。 本棚に上げていた小物がいくつか落ちたくらいで被害はなかったが、いくら慣れてはいても、これくらいの震度になるとやはりぎょっとする。 日本人である限り、記録に残るような大地震を一度も経験しないまま過ごす、ということは無理なようだ。 大地が揺れるというのは、いちばんあり得ないことなのである。 その盤石のはずの足下がひっくり返るのだから、動顛して当たり前なのだ。 お互い天変地異なんかに負けず、人生をまっとうしましょう。 今日はそれほどよい天気ではなかったのだが、午後になってかみさんが、久しぶりに歩きたいと言い出した。 今年になって体調がすぐれず、夏には1週間入院したせいもあって、最近は足腰がめっきり衰えていた。 外出といえばスーパーへ行くくらいだから、歩数にしてせいぜい2000歩、それ以上はこの半年、歩いてなかったのだ。 正直、もうダムへ行くことはないだろうと思っていた。 今日は調子がよかったから歩きたいと言い出したのだろうが、本人もはじめはダムまで行き、芝生や木立のなかを歩けたら、というくらいの気持ちだったようだ。 すぐ足が痛くなるから、そうなると腰を下ろし、しばらく休まなければならないのである。 ところが久しぶりの解放感を味わって気持ちがよかったか、ダムの上まで行ったら、もうすこし行けると言い出した。 それでまた、もうちょっと足を延ばし、まだ行ける、まだ行けるということになって、結局ダム湖を1周してしまった。 最後はさすがにばてたみたいだが、6000歩も歩いたのには本人もびっくり。 これがきっかけになって、以前のように歩けるようになるとまでは期待できないが、興さえ乗れば、ふだん以上の力が出ることをあらためて教えられた。 つぎ、いつか歩けたらなと思う。 |
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