Shimizu Tatsuo Memorandum
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きのうの話 |
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2021.9.21 だいぶしのぎよくなってきた。 とはいうものの、このところ更新の間隔は開くばかりだ。 なんにも書くことがないのである。 毎日毎日変わり栄えしない暮らしをだらだらつづけており、スーパーと病院へ行く以外、外へ出ることもなくなっている。 ウォーキングも再開したいとは思うものの、かみさんの脚力が衰えて杖なしでは歩けなくなってきたから、もう以前のようにはできなくなった。 スマホもひところは面白がっていたのに、いまではばたっというくらい興味が失せた。 ガラケーに比べたら大きいから持ち歩きにくく、よく忘れる。 いざというとき役に立たない。 有効に使えば便利なツールだとは思うが、こちらが老化(劣化)しすぎて面白がれるところまで行かないのだ。 よくよく考えてみたら、やっぱり所有すべき必然性がなかった。 まえに一度持ったときと同様、今回も同じ経路をたどろうとしている。 それではいかんということで発奮したわけでもないが、気分を変えようと、通販でスマートウォッチを買った。 スマホを持ち歩かないと時計がなくて不便するからだ。 時刻、曜日はもちろん、歩数計、歩行距離、消費カロリー、体温計、心拍数、血中酸素、血圧、睡眠時間まで測れる便利グッズで、しかもお値段は2000ウン百円。 ところが、買ってはみたものの、そもそもスマートウォッチとはどういうものか、まったく知らなかった。 スマホと連動させてはじめて使える、ということも知らなかったのだ。 ということは、連動させなければ使えないということだった。 その設定の仕方が、1枚の薄っぺらな紙片に書いてあるだけ。 ルーペで拡大しても読めない極小活字で、それ以外のフォローはなにもない。 メイドインチャイナは不親切なのだ。 さらにマニュアルの説明不足を、理解力で補う知能がこちらにはない。 しかもおどろいたことにこのウォッチ、画面を操作するスイッチやボタンがどこにもなかった。 当てずっぽうで、どこか押したり叩いたりしていたらパッとつくのだが、数秒で消える。 文字盤のいちばん下のところに、かすかな指紋マークがついているのに気づいたのは、何日もたってからだ。 そこにタッチしたら、画像が出る。 しかし画面がつぎの画面に変わると、フィードバックさせて元の画面にもどることができない。 出てくる画面をつぎつぎと順送りし、10数回操作してやっと最初の画面にもどる。 そういうことはわかったが、どうしたらスマホの時計と連動するのか、それがどうしてもできない。 とうとうわからないまま途中であきらめた。 10日以上放置していた。 思い直しては、何度かいじった。 業を煮やして腹をくくった。 たとえつつき壊したとしてもたかが2000円。 とにかくめちゃくちゃにつついていたら、いつの間にか正解に突き当たっていたらしく、よく見たら正確な曜日で時刻を刻んでいた。 数秒で画面が消えるのはそのまま。 タッチする、映る、消える、タッチする、映る、消えるの繰り返し、一応使えるが、100パーセント正しく設定できているのかどうか、いまだにわかってない。 ま、2000円のおもちゃだと思えば腹も立たない、と納得はしている。 かみさんのお伴で病院に行ったとき、院内の血圧計を使って、自分のウオッチとの測定結果を比べてみた。 思いの外差がなかった。 誤差にして100分の5くらい。 睡眠時間もどうやって計るのか知らないが、割合よく寝たなと感じたときは4時間をオーバーしている。 歩数計もスマホよりは正確だ。 つまり実用の域には達している。 普段使いには十分だと、いまは毎日腕にはめている。 おかげでせっかくのスマホは、ますます持ち歩かなくなった。 |
2021.8.28 市役所に提出しなければならない書類があって、日帰りで多摩へ出かけていた。 マイナンバーカードを受け取りに行ったとき以来だから、ざっと1ヶ月半ぶりの都内である。 この間木更津から1歩も出なかった。 これほどコロナ感染者が増え、最多記録が毎日塗り替えられている状況からすると、今日も感染しないで生き延びられたことが奇跡のように思えてくる。 さいわい知人友人の間からも、まだ感染者は出ていない。 なによりも感染したら家族に迷惑をかけるし、2週間もの隔離生活を余儀なくされる。 どっちかといえばコロナよりそっちが我慢できない。 それでまあ、おとなしく引き籠もっているのだが、久しぶりに見た街も、乗った電車も思いの外がらがらだった。 なんでもパラリンピック期間中は高速料金が値上げされているのだとか。 それで人が少なかったのかもしれない。 高速バスも間引き運転となり、午後の時間帯によっては運転間隔が空く。 ふだんだと30分ぐらい我慢して待合室に坐っているのだが、今日はそれが辛抱できないくらい暑かった。 それで手近の喫茶店に入った。 そしたらコーヒー代が640円だって。 木更津ではコメダしか行ったことがないのだが、ここが420円。 けっこうな値段だなあと思っていたが、これでモーニングもつくことを考えると、420円はまだ安かった。 しかし都内は総体的に物価が高いわ。 昼めし代が1200円だったけど、値段の割りにいまいちだった。 最近はずっと木更津のイオン価格で暮らしているから、都内で東京値段に出くわすと心臓に悪い。 東京ではもう暮らせなくなっていることを、行くたびに思い知らされている。 それにしても今日の暑さよ。 帰ってきたら自分の部屋の気温が35・9度になっていた。 |
2021.8.5 オリンピックのおかげで毎日ざわついて、なんにもできない。 べつに文句を言っているわけではない。 野球やサッカーや陸上競技など、見たいものはしっかり見ているから、それだけで一日が終わり、あとなにもできないということである。 第一暑すぎる。 北海道で真夏日が10日以上つづくなんて、札幌にいたころは考えられなかった。 当時は市内でも、冷房のないオフィスビルがいくらでもあった。 全国ブランドの有名菓子店に行ったら、熱気が籠もってむんむんしていたからびっくりしたことを覚えている。 借りていたマンションも、温水暖房で冬はトイレの中まで暖かかったのに対し、クーラーをつけている家は一軒もなかった。 ほんの20年前のことである。 気候がすっかり変わってしまった。 雨の降り方まで変わってきた。 火曜日、いつものようにスーパーへ行こうとすると、西の空に黒い雲が立ち込めていた。 雷雨警報が出ていたから、これは一雨降られるかもしれないと思った。 家を出て数分後、交通量の多い県道に乗り入れる。 そこへ入った途端、フロントガラスにぽつんと水滴が落ちてきた。 「ありゃ、降ってきた」 まだ黒雲の下まで来ていなかった。 200メートルくらい先に、信号機がある。 そこまで時間にしてわずか10秒くらい。 そこまでどころか。つぎの瞬間、一気に、叩きつける大雨が降ってきた。 それこそバケツをひっくり返したような雨。 84年生きてきたが、これほど瞬間的に、前が見えなく大雨を経験したのははじめてだった。 人生はじまって以来という大型台風も、豪雨も、雨どころの高知ではなく千葉で経験しているのだ。 むかしはゲリラ豪雨とか、線状降水帯とかいったことばすらなかった。 過去の記憶や経験が、役に立たなくなりかけている。 今回のコロナ禍だってそうだ。 なにもかも、はじめて。 試されているのは、人間なのである。 現実を見ていると、記憶と経験が足を引っぱっているとしか思えない。 いちばんまずいのは、当事者がそれに気づいていないことだ。 人と制度が、劣化してしまった。 オリンピックを見ても思ったことだが、世代は確実に交代期へと差しかかっている。 現実にはそれが、いちばんむずかしいんだよなあ。 |
2021.7.14 二度目のコロナ・ワクチン接種を、先週ようやく受け終えた。 住民票を移していないので、木更津では受けることができないと思い、だったらしなくていいやと半分あきらめていた。 ところが前回の糖尿病検診のとき、看護婦さんがコロナワクチンはどうしますかと尋ねてくれた。 市民じゃないんですが、と答えると聞きに行ってくれ、かかりつけ医だからいいそうですよ、と言ってくれたのだ。 それでめでたく接種が受けられたわけだが、可哀想だったのはかみさん。 当時かかっていた医院に申し出たところ、市民ではないからという理由で断られているのだ。 それでひょっとと思い、わたしのかかりつけ医院に、ここで一度インフルエンザの予防注射をしてもらったことがあるだけですが、と聞いてみた。 昨年冬、かみさんも打ちたいというので、ふたりしてインフルエンザの予防注射をしてもらったことがあるのだ。 そのカルテが残っていた。 だったら当医院の患者さんですということになり、すこし遅れるが、かみさんもワクチンの接種をしてもらえることになった。 わざわざ多摩まで帰らなくてもよくなったわけで、大助かりだ。 昨日はせがれに車を運転してもらい、その多摩までわざわざ帰っていた。 申請してあったマイナンバーカードを受け取りに行ったのである。 わたしは運転免許証を持っているから、いつでも自分が自分であることを保証できる。 車に乗らないかみさんは、それができない。 健康保険証もパスポートもだめだと言われたら、身元を証明できるものはなにひとつないのである。 そういう不備を補う最強の身元保証手段がマイナンバーカードなわけで、今回やっと手に入れたのだ。 しかし当のかみさんは、この先、このカードを必要とするときがあるかしらと言っている。 ふたりとも、持っているパスポートの有効期限が切れていたのだ。 再申請する機会は、たぶんないだろうな。 |
2021.7.1 木更津に来て植えた木が何本かある。 すべて実のなる木、要するに果樹、草花には興味がない。 いちばん楽しみにしていたのはビワだ。 3本植えて、2本はイノシシだかアナグマだかにやられた。 1本残った木に、一昨年はじめて10個ぐらい実がなった。 気づいたのが遅かったから、見つけたときは残念ながら虫に食われていた。 去年は実りなし。 木はその後も大きくなり、今年は4、5メートルもの高さになった。 この前見たら、大きな実が10数個実っていた。 黄色く熟れ、そろそろ食いどきだ。 すぐにも取りたかったが、あいにくその日は雨が降っていた。 それで天候が回復するまで数日待った。 梅雨の晴れ間、脚立を引きずり、袋持参で、もぎに行った。 そしたらただのひとつもなくなっていた。 地面を見ると、鋤で掘り返したような大穴だらけ。 サルはいないはずだが、なにものの仕業か、見当がつかない。 無念で、残念で、じいさんは口惜し涙に暮れた。 つぎはヤマモモ。 前に書いたが、この木は越してきたときからあった。 高さ10メートル近い大木だが、オスの木らしくて実はつけたことがなかった。 それでメスの木を買って来て、横に植えた。 まだ2メートル程度の幼木だ。 それが今年、いきなり実をつけた。 ごらんの通り、ミニトマトほどの大粒の実が鈴なりだ。 果実用に開発された木だから、実が大きくて甘味も強い。 大喜びしながら摘んだら、あっという間にステンレスボールが一杯になった。 砂糖で煮詰め、レモンで味を調えると、極上のヨーグルトソースができた。 目の覚めるような鮮紅色、甘酸っぱくて、しみじみとうまいソースである。 ブルーベリーソースなんて目じゃないのだ。 この写真、じつは1回目を取ったあとのもの、当初はこの倍以上あった。 来年はどれくらいソースがつくれるか、いまから楽しみだ。 |
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